売上増を目指すECサイトに必要な戦略の立て方とは。
- ECマーケティング
ECサイト運営はプラットフォームによっては競合が多く、容易に差別化ができません。自社に無理のない施策で売上増を目指すためには、ECサイトの特性を理解したうえで的確な戦略を立てることが重要です。
ここではECサイトの売上増につながる、戦略の立て方について解説します。
INDEX
ECサイトにおける戦略の立て方
売上増を目指すなら、ECサイトに適した戦略を立てることが重要です。ただし、最初から難しい内容の戦略を求める必要はありません。取り組みやすい部分から始めて、堅実に売上増加を目指しましょう。
ECサイトにおける戦略立案の方法は、主に下記の3パターンです。
・競合他社を分析する
・マーケティングの基本に沿って戦略を考える
・売上数から逆算してKPIを設定する
それぞれの具体的なやり方や、取り組み時のポイントを下記で紹介します。
競合他社を分析する
差別化を図るためには、競合他社の強み・弱みを把握することが重要です。競合他社の分析で行う調査は下記の4つです。
・商品のラインナップや品質の分析
・ユーザーニーズや評判の分析
・ECサイトの内容に関する分析
・購入調査による分析
それぞれ、詳しく解説します。
商品のラインナップや品質の分析
競合他社が類似商品を販売している場合、ラインナップや品質の確認が不可欠です。カラーバリエーションなどラインナップで負けている場合は、自社も同じように仕入れを強化することで対抗できます。品質に違いがある場合は、強みを重点的にアピールして差別化を図りましょう。
ユーザーニーズや評判の分析
ユーザーが競合他社に対してどのような期待をもって利用しているのか、実際に購入した後は何に満足しているのかを分析します。ユーザーニーズや評判を探る場所として適しているのが、ECサイトのレビュー欄です。
レビュー欄には、購入したユーザーの「性別」「年齢」「商品の感想」「対応に関する感想」など、多くの有益な情報が含まれています。レビューを参考にすることで、どのような層にニーズがあるのか、どのような点に満足あるいは不満を覚えたのかを把握できます。
ECサイトの内容に関する分析
商品以外でユーザー満足度に影響する要素が、ECサイト全体の質です。ユーザーが目的の商品を見つけやすいか、他の同等品と比較検討しやすいか、注文から配送までのフローはわかりやすいかなど、サイトそのものの質を確認します。
これらの他にも決済サービスの多さやカートの使いやすさ、保証内容などサービス面も重要な評価ポイントです。
購入調査による分析
競合他社の様子を深く知る方法が購入調査です。注文から出荷までのリードタイム、受注や決済、発送時のショップからの連絡、到着するまでの対応などを細かく確認しましょう。
商品の到着後も分析できるポイントは残っています。梱包の丁寧さ、同梱されているチラシなどの内容、購入後のアプローチ方法なども、ユーザーからの印象を大きく左右する要素です。
上記のとおり、競合他社の分析はさまざまな方法で行えます。中には、商品の購入費など、コストがかかる方法もあります。しかし多少の費用をかけてでも、競合他社の成功要因を探ることは重要です。競合他社の良いところを知れば、自社の戦略にも取り入れられます。
マーケティングの基本に沿って戦略を考える
ECサイトで売上を伸ばすためには、マーケティングの基本に立ち返って戦略を練る必要があります。マーケティングでもっとも基本となるのが、「ターゲティング」「ポジショニング」「EC計画」の3ステップです。
ターゲティング
ターゲティングとは、商品を誰に売りたいのか、顧客層を設定することです。
例えば、野球グッズを取り扱っている場合、サッカーやバスケットなど他のスポーツが好きなユーザーに商品を紹介しても、受注は期待できません。商品を本当に求めているユーザーに届けるために必要なのが、ターゲティングによるアプローチ先の絞り込みです。
ターゲティングするうえで意識すべきことが、詳細かつ具体的にアプローチしたいユーザーを想定することです。売りたいユーザーのイメージを念頭に、明確なペルソナ(人物像)を設定することがターゲティングのコツです。
年齢や性別、住んでいる地域、家族構成、現在の悩みなど、実在する人物であるかのように詳しく設定すると、効果的なアプローチ方法を考えるヒントになります。
ポジショニング
ターゲティングの次は、設定したペルソナを対象としたポジショニングを行います。ポジショニングは「製品戦略(Product)」「価格戦略(Price)」「流通戦略(Place)」「宣伝戦略(Promotion)」からなる、いわゆる4P分析のことです。
製品戦略では、商品でどのような価値を提供したいのか考えます。商品を購入すると、どのようなメリットがあるのか、ユーザー目線で探って設定することが重要です。ユーザーにとって、価値は商品の質であるとは限りません。サポート内容やブランドイメージなどが価値として求められる場合もあります。
価格戦略は商品をどれくらいの価格で販売するか決めることです。高すぎると売れにくくなり、安すぎると利益率を下げてしまいます。どのような付加価値で価格以上の魅力を引き出すか、製品戦略とあわせて考えることがポイントです。
流通戦略では、商品の流通経路や販売場所について考えます。一口にECサイトといっても、自社配送や実店舗受け取り対応、電話・FAXによるカート機能以外からの注文受付など、流通経路や販売場所はさまざまです。ターゲットのライフスタイルや、ニーズに合った流通戦略を立てましょう。
宣伝戦略は、自社やECサイト、商品の存在をどのような手法で知ってもらうか考えることです。ターゲットによって、日常的に触れる機会の多い媒体は異なります。若者向け商品であれば10代を中心に人気があるSNSを利用するなど、ターゲットに合った宣伝方法やプラットフォームを選ぶことが重要です。
EC計画
ポジショニングで大まかに決まった商品の販売戦略を参考に、EC計画を作成しましょう。主に下記の項目を整理します。
・EC事業を行うに至った背景
・背景から生まれた課題
・課題解決後はどうなってほしいか(目的)
・ターゲティングで設定したペルソナ・顧客層
・4P分析にもとづく、目標達成のための手段
・売上、仕入、広告費などの予算
・ECサイト構築までのフロー(誰が、いつまでに、何をするのか)
EC計画の内容によっては、必ずしも施策のすべてを自社内で対応する必要はありません。サイト構築や魅力的な画像の撮影・編集、SEO施策など、外注サービスを利用できる作業は多々挙げられます。
予算やスケジュール、取り入れたい施策に応じて、ときには専門業者のサービスも活用するのがおすすめです。
売上数から逆算してKPIを設定する
目標を順調に達成するためには、プロセスごとに達成度合いを確認しつつ、逐一必要な施策を加えることが大切です。プロセスごとの達成度合いを計るのに役立つ指標が、KPI(Key Performance Indicator)すなわち重要業績評価指標です。
KPIを設定するときは、明確なこと、測定できること、達成できることを意識します。
例えば、「今月中に商品Aの売上を増やす」よりも「今月15日までに商品Aを100個売る」のほうが、期間や数値が明確で結果も評価しやすくなります。同時に、KPIは低すぎず高すぎない、達成可能な範囲で設定することがポイントです。
適切なKPIを設定する方法は売上数から逆算することです。ECサイトの売上数は、下記の計算式で算出できます。
流入ユーザー数10,000人のうち2,000人が購入し、購買単価が3,000円だった場合、計算式に当てはめると、売上数は下記のとおりです。
ユーザー数、CVR、購買単価のいずれかひとつが上向いただけでも、売上数は高くなります。仮に同じ流入ユーザー数やCVRでも、購買単価が6,000円になれば売上数は2倍です。
いずれの指標をどの程度上昇させるか、現状と達成したい売上数から逆算してKPIを設定しましょう。明確かつ厳密に数値を設定すると、課題を達成するためには何をすれば良いか、取るべき手段も見えてきます。
場合によっては、厳しい目標が必要になるかもしれません。進捗を見て達成困難と判断したときは、適宜下方修正するなどの工夫もおすすめです。
【ECサイト】アクセス・売上アップを見込める戦略
ECサイトの売上アップを狙うためには、アクセスを増やす施策も不可欠です。アクセスを増やしつつ売上アップにもつなげる戦略は、複数挙げられます。例えば、複数出店やチャネルの組み合わせ、SEOなどです。
複数のECモールに出店する
複数のECモールに出店することが、もっとも手軽にアクセス数を増やす方法です。ユーザーを引き込む受け口が増えれば、ポイントや優待特典などを目当てに特定のECモールのみを利用する層も獲得できます。
アクセスが集まり、より多くのユーザーに商品を見てもらえるようになれば、売上アップのチャンスにも恵まれます。
ショップの認知拡大を図れる点も複数のECモールを活用するメリットです。仮に、一方で順位が振るわなくても、もう一方で上位表示されれば、ある程度の売上を確保できます。
取り扱い商品によっては、越境ECへの展開もおすすめです。複数のECモールを利用するときは、利用するプラットフォーム数に比例して出店費用も膨らむ点に注意しましょう。
SNSやアプリなどあらゆるチャネルを組み合わせる
あらゆるチャネルを組み合わせて相乗効果を狙う方法も認知拡大や集客に有効です。SNS運用やアプリ活用で、ECモール以外からの流入を狙います。
ユーザーとの接点が増えるため、ファン化やニーズの把握にも役立ちます。いわゆるバズの可能性もあり、注目が集まれば爆発的なアクセスや売上も夢ではありません。
下記は、実際にSNSを活用して集客に成功している企業の事例です。
ニトリ×Instagramの例 |
多くのインテリアアイテムを取り扱っているニトリは、画像投稿に特化したSNS、Instagramで魅力的なインテリアコーディネートを紹介しています。
コーディネート例を閲覧して「真似したい」と思ったユーザー向けに、投稿欄にはショッピングタグを加えて直接ショップへ誘導しているのが特徴です。プロフィール欄にもオンラインショップへのリンクを張り、個別の投稿欄以外からも流入経路を確保しています。 Instagramは、プロフィールなど限られた場所にしかリンクを張れません。しかしショッピングタグを活用することで、ユーザーがストレスなく買い物できるように工夫されています。 |
SNSやアプリは自社商品を紹介するのみならず、上記の例のように流入経路を構築できるメリットもあります。あらゆる方面にショップへの入口を作り、まんべんなく集客できるようにチャネルを組み合わせましょう。
ただし投稿内容によっては、炎上するリスクもある点に注意してください。SNS運用に不安がある場合は、知識や経験が豊富な専門家に相談するのもおすすめです。
SEO施策を徹底する
ユーザーの多くは、購入する商品を探すときにECモール内の検索機能や、検索エンジンを利用します。SEO施策に注力して、ショップの存在を知らない層のアクセス増加も狙いましょう。
SEOを意識して店舗の情報を整えれば、検索でヒットしやすくなります。効果的とされる施策としてキーワード選定、タイトルの改善、ディスクリプションやシェアボタンの設定などが挙げられます。
ECサイト全体のUIも重要です。パソコンのみならずスマホやタブレットなど画面の小さい端末でもストレスなく閲覧できるデザインを心掛けてください。
ページが表示されるまでのスピードも、快適性を左右します。画像が多い場合はサイズや量を調整するなど、ページスピードの改善もおすすめです。
まとめ
ECサイトの売上を伸ばすためには、ユーザー流入数を増やす工夫が必要です。さまざまな角度から戦略を練り、目標に適した方法を実践しましょう。
より具体的にECサイトの戦略を知りたい方や、既存サイトの売上を伸ばしたい方は、ECモール支援サービスにご相談ください。
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