ECサイトのCRM施策は?重要性や導入の流れについて解説
- ECマーケティング
CRM(=Customer Relationship Management)とは、「顧客関係管理システム」もしくは「顧客情報管理システム」のことを指します。自社のECサイトを訪れたユーザーの氏名・住所・年齢などの属性はもちろん、過去の購買履歴や問い合わせ履歴なども可視化できるので、マーケティングに役立ちます。
ECサイトを、ただ商品を売るだけのツールではなく、顧客情報を効率よく収集しながら効果的なプロモーションができる場として考える場合、CRM戦略が欠かせません。
今回は、ECサイトにおける効果的なCRM戦略について解説します。CRM導入の流れやCRMが必要な理由にも触れるので、ご参考にしてください。
INDEX
ECサイトにCRMが必要な理由
まずは、ECサイト運営にCRM戦略が必要な理由を解説します。
新型コロナウイルス感染症が流行して以降、ECサイトを利用するユーザー数が拡大しています。競合他社に対抗しつつ自社の売上を伸ばすためには、顧客ニーズを正しく把握することが大切です。
多様なニーズに対応する手法としてCRMが注目を集めているので、下記で重要性を探っていきましょう。
既存顧客のリピートがEC成功のカギを握る
ECサイト成功のカギは、既存顧客のリピートにあると言われています。もちろん新規顧客を獲得することも大切ですが、そのためには広告の出稿など大きな費用がかかります。
反対に、既存顧客の満足度が高く、安定してリピーターになってもらうことができれば、新たな広告出稿をしなくても一定の売上を確保できます。
既存顧客の満足度を上げるためには、CRMで収集した顧客情報を最大限活かすことが欠かせません。購買履歴に基づいてメンションを出したり、おすすめ商品の表示基準を見直したりすれば、ニーズに合ったプロモーションができます。
「面倒な検索をしなくても欲しい商品が自動で提案される」など質の高い購買体験を提供できれば、リピーターになってくれる可能性も高くなるのです。
広告のみに依存しないマーケティング体制が求められる
新規顧客の獲得や自社商品の露出拡大を目的とする際は、広告出稿が効果的です。ユーザーの心を掴む広告を出せれば、顧客や売上の向上だけでなくブランディングにもつながります。
しかし、広告予算のうち、ネット通販広告における予算は全体の20%と高い割合を占めています。特に化粧品や健康食品など特定商品をリピート購入される割合が高い業態においては、広告費が50%を占めることもあります。
売上が向上し市場規模が拡大すればするほど莫大な広告費がかかってしまい、本来得られるはずだった収益が削られてしまうケースにも注意が必要です。
広告費を削りつつ効果的なプロモーションがしたいときは、CRMの考えを導入してみましょう。自社の商品が誰に売れているのか、誰がどのペースでどの程度の単価で購入しているのかを可視化できれば、低予算でも効率よく広告を打ち出せます。
顧客ニーズに合ったマーケティングもしやすく、広告のみに依存しないマーケティングノウハウが身につくのもメリットです。
ECサイトのCRM活用メリット
CRMは、営業担当者が顧客と直接顔を合わせて営業活動するときに活用されることの多いシステムですが、近年は、ECサイトの売上増加にも役立つと注目を集めています。
ここでは、ECサイトでCRMを活用するメリットを解説します。自社で導入すべきか検討しながら、チェックしてみましょう。
顧客情報の効率的な管理・共有
CRMを活用することにより、社内で顧客情報の共有がしやすくなります。顧客一人ひとりに関する年齢・住所・購入履歴だけでなく、問い合わせ履歴や購買単価を可視化できるので、誰が担当しても一定のカスタマーサポートを提供することができます。
ECサイトのコールセンターなどで役立つだけでなく、リアル店舗とも共有すればよりパーソナライズされた接客も可能です。
これまで、顧客データベースは複数のチャンネルにまたがって管理されることが多く、部門ごとの共有に課題がありました。「ECサイト上で問い合わせたことが店舗の担当者に伝わっていない」などのギャップも生じやすく、程度によっては企業全体への不信感にもつながります。
CRMを導入することで情報共有体制を見直すことができれば、業務効率の改善と顧客満足度の向上を同時に叶えることができます。
顧客アプローチの最適化
CRM上に蓄積された情報を活用すれば、顧客アプローチも最適化できます。
例えば、前回購入した商品のカテゴリーに類似するアイテムを次回紹介したり、レコメンドしたりして購買意欲を刺激する方法があります。購入サイクルに合わせてアラートを出したり、購入回数や単価に合わせて提案内容を変動したりすることも可能です。
顧客ごとの属性をグルーピングし、セグメントごとにアプローチ方法を変えるなど新たな営業手法が成り立つメリットもあります。
リピート率向上や単価アップも見込みやすく、効果的なECサイト戦略となるのです。
顧客ニーズの把握・活用
CRMにより多様化する顧客ニーズを把握できれば、次回の新商品開発に役立ちます。
また、在庫不足による機会損失や在庫過剰によるコスト増を防ぐために在庫量を調整したり、自社のユーザー層に合わせて品揃えを改善したりすることも可能です。既存のマーケティング戦略を見直すきっかけとしてCRMを活用できれば、これまでにない新たなアイディアが生まれるかもしれません。
将来的な売上アップのための計画を立案しやすく、データに基づいた客観的な意思決定が行えます。
ECサイトにおけるCRM実践の流れ
最後に、ECサイトにおけるCRM実践の流れを解説します。システムを導入しただけでは、顧客ニーズの把握に役立てられません。適切な手順で効果的にCRMを活用することが大切です。
何から手をつければよいかイメージできない方は、ぜひ参考にしてみてください。
顧客データの統合と共有を行う
まずは顧客データを統合するため、基本的なフォーマットを作成します。そのうえで各部門が保有している顧客情報を集約し、どの部門からでも閲覧できるよう共有体制を整えましょう。
自社ECサイト上の情報はもちろん、リアル店舗やECモール上の情報も統合するのが理想です。
顧客情報だけでなく閲覧履歴や購入頻度に関する情報も収集しながら、情報量の多いCRMをめざしましょう。マーケティングからECサイト担当者まで幅広くCRMを閲覧できれば、新たな発見も得やすくなります。
顧客データを分析する
顧客データ分析をしたいときは、専用のCRMツールを活用するのが近道です。ユーザー属性ごとのセグメント化を自動化できれば、面倒な分析作業も要りません。
また、個別のニーズを可視化できる機能を使えば、リアル店舗でのパーソナライズされた接客とECサイトでの利便性を両立できます。予算・機能・サポート体制・セキュリティ対策など複数の観点でCRMツールを選定し、自社に合った運用ができるようカスタマイズしていきましょう。
顧客データを活用した施策を行う
顧客データ分析ができたら、実際のCRM施策に移ります。それぞれの顧客に合わせたアプローチやプロモーションを考案し、広告・宣伝・接客に活かします。
ECサイトとID連携されているLINEやSNSを使ったり、セグメントに合った内容でメールマガジンを配信したりすれば、開封率向上できるのもメリットです。
効果測定を行い、改善策を実行する
CRM導入後は定期的に効果測定をおこない、改善すべきポイントがないか探ります。リピート率・売上・単価・コンバージョン率などを可視化し、伸びていない部分があれば改善施策を練りましょう。
改善策の実行と効果計測というPDCAサイクルを回すことができれば、CRM施策の精度も上がります。そのためにはPDCAサイクルを月次業務に組み込んでスケジュールを確保し、人員・予算ともにあらかじめ捻出しておくのがおすすめです。
「CRMの導入」がゴールになってしまうと、つい効果検証が疎かになり、「導入しっぱなし」になりがちです。チェックの際は複数の部門担当者が参加するなどして、社内に新たなイノベーションを起こせるよう意識しておきましょう。
まとめ
ECサイトにおけるCRMは、顧客情報を一元管理するだけでなく、属性に合ったプロモーションができるよう最適化するための手法でもあります。顧客ニーズが多様化している今の時代だからこそ、一人ひとりのニーズに合った戦略を考え、実行することがリピーターの獲得につながります。
ECサイトとLINEを組み合わせてプロモーションしたり、リアル店舗とリンクさせてパーソナライズされた接客をしたり、さまざまな手法を考えてみましょう。
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